#年金生活 #節約 #老後資金 #シニアライフ #60代の暮らし
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🌻シニア女性の心が軽くなる物語
「貯金、いくらあるの」
その夜、ちゃぶだいの上には、ゆのみが二つ並んでいました。
むつこさん、七十五歳。夫を見送って、地方の古い一軒家にひとりで暮らしています。年金は、月に十万円。
他県で暮らす娘のかおりさんが、久しぶりに帰ってきた夜のことでした。
娘は、疑って聞いたのではありません。ただ、心配だっただけです。それは、むつこさんにも分かっていました。
それでも、答えられませんでした。
「心配しなくても、大丈夫よ」
そう言うと、娘は笑いませんでした。
言えば、あの子は安心する。それは分かっている。けれど、一度口にした数字は、二度と取り消せません。数字は、ひとりで歩き出します。
言えば、心配は消える。言わなければ、水くさい母親になる。
なのに、どちらも選びたくない。
その夜、むつこさんは眠れませんでした。仏壇の前に座って、写真の中の夫に、答えの出ない問いを話し続けました。
そして夜が明けたころ、ひとつのことに気がつきます。
あの子が聞きたかったのは、金額ではなかった。「お母さんは大丈夫なの」——それを、言葉にしただけだったのだと。
大丈夫かどうかは、金額では伝わりません。暮らしが回っているかどうかで、伝わるものです。
翌朝、むつこさんは、たんすのいちばん下から一冊の古い家計ノートを取り出し、ちゃぶだいの真ん中に置きました。
夫を亡くしてから、少しずつ決めてきた五つのこと。派手な節約術でも、我慢の記録でもありません。ただの、決めごとです。
これは、貯金額を言わなかった母と、それでも安心して帰っていった娘の、一夜の物語です。
言えなかったあなたは、冷たいのでも、疑い深いのでもありません。渡すものを、まだ選んでいなかっただけかもしれません。
「VOICEVOX:波音リツ」
🌸視聴者の皆様へ
本作に掲載されている物語、登場人物、地名、および画像等はすべて創作によるものです。実在の人物や団体、実際に起きた事件とは一切関わりがございませんので、あらかじめご了承ください。
間接的な方法で子供たちにお金の貯め方を教えるのは、常に良いアイデアです。お話を聞かせていただき、ありがとうございました。